空調設備は、動いているうちは手入れを後回しにしがちです。しかし、何もせずに使い続けると、効きの低下や電気代の増加、突然の故障につながります。この記事では、空調設備のメンテナンスにはどんな作業があるのか、なぜ必要なのか、自分でできることと業者に任せることの線引きを、初めての方にも分かるように説明します。
空調設備のメンテナンスとは
メンテナンスとは、設備が本来の性能を保てるように、点検・清掃・部品交換などを行うことです。大きく分けて、次の2つの考え方があります。
- 予防保全:故障する前に、計画的に点検や部品交換を行う
- 事後保全:故障してから修理する
事後保全だけに頼ると、暑さ寒さの厳しい時期に突然止まるおそれがあります。営業や業務への影響を考えると、予防保全を基本にするのが望ましいといえます。
知っておきたいポイント
1. メンテナンスの主な内容
空調設備のメンテナンスには、次のような作業があります。
- フィルターの清掃・交換
- 熱交換器(室内機・室外機)の洗浄
- ドレンパン(結露水の受け皿)と排水管の清掃
- 冷媒の漏れや圧力の点検
- 電気部品、ファン、ベルトなどの点検と交換
- 運転状態(温度、電流、異音、振動)の確認
大きなビルでは、これに加えて冷凍機、冷却塔、ポンプ、空調機などの点検や、水質の管理も行われます。
2. メンテナンスが必要な理由
1つ目は効率の維持です。フィルターや熱交換器が汚れると、同じ温度にするために余計な電気を使います。
2つ目は故障の予防です。部品の劣化や冷媒の漏れを早めに見つければ、大きな故障になる前に対処できます。
3つ目は空気の質です。内部の汚れやカビは、においや不快感の原因になります。
4つ目は寿命です。無理な運転を減らすことで、機器を長く使いやすくなります。
3. 自分でできること、業者に任せること
利用者が日常的に行えるのは、フィルターの清掃、室外機まわりの片づけ、異音や水漏れなどの変化に気づくことです。
内部の洗浄、冷媒に関わる作業、電気部品の点検や交換は、専門の知識と道具が必要です。無理に分解すると、故障や感電、水漏れの原因になります。これらは専門業者に依頼しましょう。
注意点・よくある勘違い
法律で決められた点検がある
業務用のエアコンや冷凍機は、フロン排出抑制法により、管理者に点検が義務づけられています。すべての機器で3か月に1回以上の簡易点検が必要で、一定規模以上の機器は専門知識を持つ人による定期点検も必要です。
また、建築物衛生法の対象となる建物では、空調設備の汚れの点検や清掃について基準が定められています。自主的なメンテナンスとは別に、守るべき決まりがあることを知っておきましょう。
壊れていないから不要、ではない
性能の低下は少しずつ進むため、毎日使っていると気づきにくいものです。「冷えるから大丈夫」と思っていても、電気を余計に使っていることがあります。動いているかどうかではなく、本来の性能が出ているかで考えることが大切です。
頻度は使用環境に合わせる
必要な頻度は、使う時間や場所によって変わります。油や粉じんの多い飲食店や工場、人の出入りが多い店舗では、汚れが早くたまります。機器の説明書に書かれた目安を基準に、実際の汚れ具合を見て調整しましょう。
記録を残しておく
いつ、どんな点検や修理をしたかを記録しておくと、不具合の傾向が分かり、更新時期の判断にも役立ちます。法律で定められた点検については、記録の作成と保存も義務になっています。
保守契約は内容を確認する
業者と保守契約を結ぶと、点検を計画的に進められます。ただし、契約によって、点検の回数、清掃の範囲、修理費や部品代が含まれるかどうかが異なります。金額だけでなく、内容を比べて選びましょう。
まとめ
- メンテナンスは、点検・清掃・部品交換で性能を保つ取り組み
- 故障を防ぐ予防保全を基本にするのが望ましい
- 効率の維持、故障の予防、空気の質、寿命のために必要
- フィルター清掃は自分で、内部や冷媒の作業は専門業者に任せる
- 業務用の機器には、法律で定められた点検がある
日常の手入れと専門業者の点検を組み合わせることが、空調設備を安心して使い続けるための基本です。